彼女は、私が「クバの葉助産院」を開業して最初に、自宅出産をご一緒したお母さんです。
あれから数年。「3人目を妊娠しました。」そう連絡をくれたとき、彼女は迷うことなく「今回も自宅で産みたい」と話してくれました。
でも、その気持ちとは裏腹に、現実はとても忙しい毎日でした。仕事、子育て、家事。
ご主人も毎日遅くまで働き、それでも子どもたちとの時間を大切にしたくて、早く帰宅して寝かしつけをしてから、夜遅くまで自宅で仕事を続ける日々。
「本当に自宅出産ができるのかな。」
そんな不安を、彼女は何度も口にしていました。
私は彼女とゆっくり話を重ねました。
自宅出産を選ぶことが目的ではありません。
病院で産んでも、自宅で産んでも、一番大切なのは、お母さんと赤ちゃんが健康で、安心して出産の日を迎えること。
だからこそ、「無理をしないこと」を二人で何度も確認しました。
休めるときは休む。
頑張りすぎない。
その家族にとって一番自然な形を、一緒に探していこう。そんな妊娠期間でした。
今回、お母さんの中で一つ大きなテーマがありました。
それは、手のかかる5歳のお姉ちゃんの存在です。
前回、自宅で弟が生まれたとき、お姉ちゃんはまだ1歳半くらい。お母さんがお産に集中できるよう、おばあちゃんと一緒に公園へ出かけてもらいました。もちろん、その判断は間違っていなかったと思います。

でもそれから、出産後の写真を見て、お姉ちゃんは「わたしはいないねー。」と、何度も言うとのこと。。。出産後の写真には、生まれたばかりの弟と、お父さん、お母さん、そして私たち助産師。そこに、お姉ちゃんはいませんでした。

幼かった彼女の心には、「私はその場にいなかった」という寂しさが残っていたのかなーと、お母さんは話していました。今回の妊娠中、お姉ちゃんは、赤ちゃん返りのようにぐずりが強くなって、揺れる気持ちを感じることが多々ありました。
だから、ご両親と相談して、今回は、お姉ちゃんも、お兄ちゃんも、みんなで赤ちゃんを迎えよう。家族みんながお産のチームとなってひとつになろう!と。いうことになりました。
妊婦健診では、お産の絵本を一緒に読んだり、お母さんを応援する歌を歌ったり。
「お母さんは今、赤ちゃんを産むという大きなお仕事をするんだよ。」
「だからみんなで応援しようね。」
そんな話を何度も繰り返しました。

最初は少し照れて距離のあった子どもたちも、健診を重ねるたびに少しずつ心を開いてくれて、一緒に笑い、お話ししてくれるようになりました。

家族全員が、お産へ向かって準備をしている。
そんな時間だったように思います。
クバの葉助産院 はしもとえりこ
