朴くんが産まれた日

朴くんが産まれてへその緒を切るところ・・・
真っ暗で何もみえません(笑)キャンドルと懐中電灯で私達は見えてます。

朝から妊婦健診と出産相談で車で走り回っている合間に彼女から電話。

陣痛らしきものが始まった。おさまって静かになった。また始まった。もう1時間位様子見る。やっぱり来て欲しい。

全てが絶妙のタイミングでの連絡。

夜の18時には産婆達全員が自宅離れの産小屋に集合。
ご主人がギターを奏でて彼女は陣痛の波に身を委ねて過ごす。
私達が到着して陣痛が徐々に強くなりギターは終了。

ご主人と娘さんは自由に出たり入ったり。19時頃には、お産前にリクエストしたご主人手作りの明太子おにぎり(私の大好物(笑)と梅干しおにぎりと御汁が楚々と出された。合間合間に皆で頂きながら陣痛の波に乗る。

どんどん波が強く逞しくなってきて、ご主人は外へ、娘さんも外へ。産小屋の中には彼女と私達3人だけ。

いよいよいきみたくなってきたタイミングで外から太鼓の音が聞こえてきた。
「ドン・ドン・ドン・ドン」

赤ちゃんの頭が見えて来た~
「ドンドンドンドン・ドンドンドンドン」早くなる太鼓のリズム

赤ちゃんの頭が出てきた~
「ドドドドドドドドドドド」太鼓の連打リズム

父親になる彼が外で祈りながら太鼓を叩いていた。それが彼女の陣痛と連動している。確かに聞こえる太鼓のリズムに励まされながら彼女は赤ちゃんを元気に産み出した。

男が祈りながら場を守ってくれている。その守られた場の中で女達がお産をする。吉村正先生の侍のような男らしい姿を思い出した。
言葉を何もないけどみんなが同じ思いで確かにそこに在る。

産まれて彼女が「けんさんよんで」と一声。彼と娘さんが産小屋に入ったところ。彼女を愛おしそうにずっと彼は撫でていた。

胸の奥が熱くなり、何かが溢れてくる。

出張さんばステーション日野春☀松浦助産院  松浦照子

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